ボランティアLIFE


初めての大型犬との暮らしを、フウのために環境を整える時間から家族みんなで楽しんだという飯塚大輔さん・美咲さんご夫妻。フウを真ん中に、自然と笑顔がこぼれる日常のひとコマ
「完全に“4番目の子ども”です。みんなの赤ちゃん(笑)」
そう笑顔で語る飯塚さんご家族の中心にいるのは、キャリアチェンジ犬のフウです。盲導犬の訓練を経て家庭犬の道を歩むことになったフウは、人が大好きで元気いっぱい。フウを迎えたことで、ご家族の生活はさらに会話が増え、笑顔と喜びがあふれる“フウ中心”の賑やかな日々が始まりました。そんな飯塚さんご家族とフウが出会い、かけがえのない絆を育んでいく温かな日常をご紹介します。
申請から案内まで待っている間も、「どんな子が来るんだろう」とご家族みんなで楽しみにしていたといいます。 フウが初めてトライアルとして家にやってきたとき、それまで犬と暮らした経験がなかった大輔さんは、柴犬くらいのサイズ感を想像していたようで、「思ったより大きい!」と驚いたそうです。
協会から事前に聞いていたフウの性格は、“喜びすぎると我を忘れちゃうタイプ”。 「そんな子いるのかなって思っていたんですけど、本当にそのとおり(笑)」
出会った瞬間からフウはしっぽを大きく振って大喜び。うれしさを全身で表現する姿にご家族は一気に心をつかまれました。こうして2週間のトライアル期間を経て、フウは正式に家族の一員になりました。

まるで人間のようにクッションを使いこなすフウ。トライアルを経て、今ではすっかり家族の中心で安心しきって過ごしています
飯塚さんご家族の一日は、朝4時台の散歩から始まります。大輔さんが1時間ほどかけて近所をじっくり散歩し、帰宅後は待ちに待った朝ごはんです。その後はリビングでのんびり過ごしたり、その日の気分次第で寝場所をお気に入りの窓辺やソファの前に変えたりしながら、自由に過ごしています。夜も同じように1時間ほど散歩へ出かけ、ブラッシングはその合間に丁寧に行うなど、今では生活リズムも自然と“フウ中心”になりました。
「本当に、4番目の子どもみたいな存在ですね」 フウを迎えてから家族の会話もさらに増え、離れて暮らすお子さんたちからも「フウちゃん元気?」と頻繁に連絡や写真の催促が来るようになったそうです。
フウはとにかく犬も人も大好き。ドッグランでは、中型や大型のワンちゃんを見つけると「遊んで!」と勢いよく駆け寄っていきます。そしてもちろん、人にも愛嬌たっぷり。ほかのワンちゃんの飼い主さんのところへ行っては、自分から進んでコミュニケーションを取りに行きます。「みんなにかわいがってもらいたいタイプなんですよね」

晴れた日の外が大好き!うれしさを全身で表現しながらドッグランを元気に駆け回ります
その一方で、少し頑固な一面もあります。 特に雨の日は大の苦手で、道路が少しでも濡れていると歩くのを嫌がることも。散歩中にその場に完全に座り込んでしまい、おやつで気を引きながら少しずつ歩いてもらうこともあるそうです。また、洗濯かごから家族の靴下を器用に持っていってしまう、かわいい“いたずら”も日常茶飯事。そんな手を焼く日々も含めて、ご家族にとっては毎日が愛おしい思い出になっています。
フウとの暮らしでなにより安心だったのは、基本的な指示がすでに身についていたことでした。「ウェイト(待て)」や「ヒール(横につけ)」といった指示もきちんと理解していて、初めて犬を迎えるご家族にとっても、非常に接しやすかったといいます。
ソファには乗らない、決まったケージで寝る、トイレのときはワンツーベルトをつける――。トライアル期間中に教わったルールも、自然とそのまま生活に定着していきました。特にフウはトイレがしっかりと教えられていることは、初めて室内で犬を飼う飯塚さんたちにとって、大きな安心材料になりました。また、トライアル中には必要なグッズをひと通り貸し出してもらえたため、「何を準備すればいいのか」が分かりやすかったことも心強かったそうです。 床に滑り止めのマットを敷いたり、キッチンに簡易ゲートを付けたりと、フウが安心して暮らせる環境を少しずつ整えていきました。 「フウのために家を整えていく時間も、家族みんなで楽しめましたね」
生後2ヶ月から約1年間、子犬を家庭で大切に育てるボランティア「パピーウォーカー」から届いたアルバム(※1)も、印象深い贈り物でした。赤ちゃん時代の写真がたくさん詰まったアルバムには、小さなころから大切に育てられてきたフウの姿がありました。「本当に愛されて育ってきたんだなって、すごく伝わってきたんです」 その愛情のバトンを受け取るように、今は飯塚さんご家族が、フウとの毎日を大切に育んでいます。
※1:ボランティアさん同士でのやり取りは双方の自由意思にお任せしていますので、交流ができない場合もございます
休日には、ドッグランや湖、山などへアクティブに出かけることも増えました。美咲さんのご実家にも一緒に帰省しています。「知らない場所でも、臆することなくどんどん進んでいくタイプ。好奇心旺盛なんです」これから行ってみたい場所として挙がったのは、キャンプ。「子どもたちが小さいころによく行っていたので、今度はフウとも一緒に楽しみたいですね」と美咲さん。 バイク好きの大輔さんは、「いつかサイドカーに乗せて走れたら」と、これからの夢も広がります。

毎朝の散歩が日課。満開の桜の下、大好きな散歩道を飯塚さんと一緒ににこにこ笑顔で歩く特別な春のひととき。
飯塚さんご家族は、「もし登録を迷っている人がいたら、2週間(※2)、じっくりと向き合えるトライアル期間があるからこそ、安心して一歩を踏み出してほしい」と話します。2週間という時間は、フウと向き合いながら、“命を預かる”という実感を少しずつ育ててくれる大切な期間でもありました。「気づいたら、もう離れられなくなっていました。愛おしくて仕方なくて、絶対に返せないって思いました」 もちろん、ごはん代や通院など、犬と暮らすうえでの責任はあります。それでも、「それ以上に毎日が豊かになる」と、ご家族は笑顔を見せます。
元気いっぱいで、人が大好きなフウ。その存在は今日も、飯塚さんご家族の毎日を、にぎやかに、あたたかく包み込んでいます。
※2:トライアル期間は原則2週間ですが、個別の事情に応じて最大1か月まで延長可能