ボランティアLIFE
引退犬飼育ボランティア 東さん


音訳ボランティアをする晴美さんと、自作キーボードの作成などで晴美さんを支える裕人さん。ウイと一緒にカフェで穏やかな時間を楽しみます。おとなしいウイを歓迎してくれるカフェも多いそう
引退後ふたたび家族に~ウイと過ごす穏やかな毎日~
2025年8月から引退犬のウイとの生活を始めた東晴美さんと裕人さん夫妻。実はウイは、かつて晴美さんがパピーウォーカーとして初めて育てた、非常に縁の深い犬です。タイミングと縁が重なり、現役を引退したウイは再び晴美さんのもとへやってきました。「大人になったウイは、子どものころと変わらず、もの怖じしないおだやかな性格でしたね」と晴美さん。人が多い場所へ出かけても動じることがなく、どこに連れて行ってもゆったりと構えているそうです。
察しのよさも昔と変わりません。引退した今はお気に入りのベッドでくつろいでいることが多いものの、物音や人の気配がするとスッと体を起こします。「寝ているようで、実は周りの様子を感じ取っているんです。私たちがウイを見守る一方で、ウイもまた私たちのことを見守ってくれている。そんなふうにお互いを気にかけあえる存在が、とてもうれしいんです」
再び一緒に暮らし始めて、パピーの頃と変わったなと感じるのは、全く吠えなくなったこと。「子どものころはおしゃべりな男の子だったんですよ」と晴美さんは当時を笑顔で振り返ります。一方で、うれしい気持ちはすぐ態度に表れるそう。可愛がってくれる人たちのことをよく覚えていて、街で再会すると、腰からお尻を大きく振って喜ぶのだとか。それは、近くに住む晴美さんのご両親に会いに行くときも同じです。「ウイが一番うれしそうにしているのは実家かもしれません。子どものころ育ったなじみのある家ですし、私の両親も一緒に過ごした家族ですから」

毎日、ウイと会える時間を楽しみに待っている、晴美さんのご両親。ウイは2人にとって孫のような存在だそう
ウイを迎えてから、東さん夫妻の生活にも変化が生まれました。朝は、ウイが2人を起こし散歩に誘うところから一日が始まります。図書館へ一緒に出かける日もあれば、夕方に両親の家を訪ねることも。休日はカフェやドッグランへ。「ウイが来てから、夫婦で一緒に過ごす時間が長くなりました。両親もウイのことをよく話しています」と晴美さんは微笑みます。
裕人さんも、ウイとの日々は幸せで満ちていると言います。「引退犬は落ち着いて一緒に暮らすことができます。穏やかな時間を大切にしたい人にとって、引退犬との暮らしはとても魅力的だと思います」生活を始めるにあたり、夫婦で決めたルールがあります。それは、ウイが盲導犬として身につけた習慣を、そのまま大切に守り続けていくこと。せっかく積み重ねてきた訓練の成果を忘れさせたくないんです。きっと楽しみながら身につけたことですから。だから私たちは今でも、ユーザーさんと同じようにコマンド※を使いますし、人間の食べ物と犬の食べ物はきちんと分けています。排泄ベルトも、いつも使っています」それは、盲導犬として生きてきたウイへの敬意であり、安心して過ごせる環境を守ってあげたいという愛情の表れでもあります。
※コマンド:犬に行動を伝えるための合図

とにかく人が好きなウイ。晴美さんがボランティアで通っている図書館でも大人気!知っている人に会うと、しっぽもお尻も勢いよくフリフリしてうれしさを体いっぱいで表現
大人になったウイとの暮らしは、まだ半年。これから一緒にやりたいこと、行きたい場所がたくさんあるそうです。「ウイはどこに連れて行っても安心なので、いつか一緒に旅行に行きたいねと話しているんです」そう語る晴美さんの言葉に、裕人さんもうれしそうに大きくうなずきます。夫婦と一頭の穏やかな毎日が、これからも長く続いていきますように。





