応援メッセージ

盲導犬育成事業に共感、ユーザーと盲導犬が歩む2人の世界を音楽で表現してくださいました
2019年度ACジャパン支援広告「君と一緒だから」で、テレビコマーシャル用の楽曲を提供くださった斉藤さん。盲導犬同伴での受け入れ拒否の課題について取り上げた本作品では、『一緒なふたり』のメロディーにのって、ユーザーと盲導犬が楽しげに歩むさまがイラストで描かれています。楽曲提供に至った経緯や、曲に込めた思いなどをうかがってみました。
※盲導犬くらぶ101号(2021年1月15日発行)に掲載された斉藤さんからの応援メッセージを紹介します。
今回のお話をいただく少し前に、たまたま東京大学教授の福島智さんと作家の北方謙三さんの対談本を読んでいたんですよ。幼い頃に失明し、十代の終わりに聴覚も失った福島さんと自分は、“障害者”と“健常者”に区別されるのかもしれないけれど、考えていること、感じていることは少しも違わないんだよな、としみじみ感じていた時期だったので、盲導犬と一緒だと入れてもらえないお店があるという現実を知ってさみしかったし、どのお店にも入れるようになるといいよねと思ってお引き受けしました。
つい最近、グレイトフル・デッド(※)のドキュメンタリーをネットで観ていたら、ライブ会場に目の見えない人たちや耳の聞こえない人たち専用のエリアがあって、耳の聞こえない人たちは大きな風船を抱えながら振動で音を感じ、手話で歌の内容を理解していた。ああ、こういう音の伝え方もあるのか、と驚きました。ハンディのある人もない人と同じ体験ができるべきだとすごく思うし、そのための配慮や工夫をもっとしていけるといいですよね。
(※)1965年アメリカ・サンフランシスコで結成されたロックバンド。ヒッピームーブメントの象徴的存在でもあった。
“一心同体”です。ユーザーの目となり支える存在なわけだから、ユーザーの信頼感は計り知れないだろうし、盲導犬も自分の役目を自覚し、役に立てることを喜んでいるなら、相思相愛で素晴らしいと思う。自由気ままな猫だとそうはいかないでしょうけどね(笑)。ユーザーと盲導犬だけに通じるテレパシー的なものもあるんじゃないか、と勝手なことを思ったりもしていました。

2019年度ACジャパンCMソングとして使用された『一緒なふたり』CDジャケット。2020年8月12日にフルバージョンとして発売され話題となりました
どこへ行くのも
一緒なふたり
暑い日寒い日でも
星をつかまえに
行こうよ
新しい世界♪
(歌詞よりCMで使われた部分を抜粋)
いろいろありますよ。例えば、ロックコンサートの会場に盲導犬と一緒に来ることはできるのか、とか。音があまりに大きいと、犬はびっくりしちゃうのかな。野外の夏フェスとか音が分散する会場なら大丈夫だったりするんですかね。
コンサート会場にてユーザーの足元でリラックス。犬の寝言が会場に響くのではとヒヤヒヤした、拍手喝采でコンサートが終わったとわかるのか、犬が立ち上がる、そんな楽しいエピソードも
●ご質問にお答えします!
ユーザーは盲導犬と一緒に様々なコンサートに出かけ楽しんでいらっしゃいます。
ドーム級のロックコンサートをアリーナ席で楽しむ、ライブハウスで生の音を感じる、クラッシックコンサートでオーケストラの迫力に酔いしれるなど、様々です。コンサートを楽しみたい!というユーザーには、そういった環境でも落ち着いていられる性格の犬をマッチングします。一方ユーザーも、内容や時間を調べて舞台やスピーカーから距離をとったり、移動しやすい席を選んだりなど、犬の特徴を考えて、できるだけ負担のかからないよう配慮をしています。会場では、犬たちはユーザーの足元で落ち着ついて寝ていることもしばしばです。
自分もそうだけど、家に猫とか犬とか動物がいる人はきっと、“飼っている”という感覚じゃなくて、“一緒に暮らしている家族の一員”と捉えているだろうし、そういう関係がいいんじゃないかなと思いますね。家族の一員なら当然大事にするだろうし、最期まで面倒を見るのも当たり前のことだろうし。そもそも猫や犬を“商品”として扱い売買することには、すごく抵抗があります。それがなければ無理な繁殖をさせられたり、生まれて間もない子猫や子犬が命の危険を顧みずに飛行機で運ばれたりすることもなくなるよなあって。だから動物と一緒に暮らしたいと思う人はまず、保護猫や保護犬の里親募集をしているところに連絡して欲しいですね。ネットですぐに見つかりますよ。審査も厳しいらしいけど、それは人間と動物、お互いの幸せにとっても大事なことだと思う。アメリカはすでに動物を売るペットショップは存在しなくて、動物を飼いたい人は里親募集や譲渡を行っている機関から譲ってもらうか、国から認められたブリーダーと直接やり取りするらしい。すごくいいシステムだと思うし、日本も早くそうならないかな。ただこれは、犬や猫に関してだけ言えること。豚や牛や鶏のことはどう考えるのか、自分の中でも矛盾していて答えが出ないんですけどね。
とても素敵なお仕事だと思います。大変なこともあると思いますが、頑張ってください。
メッセージを通じて、斉藤さんの音楽と向き合う真摯(しんし)な姿勢や、動物へ向けられた深い慈愛、温かいお人柄が伝わってきました。

●斉藤和義(さいとう・かずよし)
1966年生まれ栃木県出身。
1993年シングル『僕の見たビートルズはTVの中』でデビュー。翌年にリリースされた『歩いて帰ろう』で一気に注目を集める。代表曲である『歌うたいのバラッド』『ウエディング・ソング』『ずっと好きだった』『やさしくなりたい』は様々なアーティストやファンに愛される楽曲となっている。大の猫好きとしても知られている。