応援メッセージ

根岸さんとPR犬。基本訓練(DE)を体験!ゆっくり「ヒール」の指示に従う盲導犬PR犬に笑顔で「グーッド!」
テレビ、映画から舞台と幅広い活躍をされている根岸さん。一方で海外の難民支援や様々な社会活動も積極的に行い、ドラマ撮影などの合間にも忙しく飛び回っています。根岸さんと盲導犬ユーザーとの出会いは、1本の映画でした。
※盲導犬くらぶ80号(2015年1月15日発行)に掲載された根岸さんからの応援メッセージを紹介します。
「パートナーズ」では、目が見えにくくなっている視覚障がいの女性という役柄でした。撮影前に神奈川訓練センターにお邪魔して、訓練士の方から盲導犬歩行と、少し見える人の歩き方や、光を感じる目の向きなど教えてもらいました。
また、盲導犬との別れのシーンは富士ハーネスでの撮影でした。パートナーの盲導犬に抱きつくシーンでは、力が入り過ぎてしまって何度も撮りなおすことになり、その時の犬には迷惑をかけたということを覚えています。
実は、この映画で私のパートナー役だった盲導犬は、間もなく引退をする実際の盲導犬でした。10歳になるその犬は「本物の盲導犬」という貫録がありましたよね。もちろんそのユーザーさんも撮影現場に来ていて、色々とお話するうちに意気投合し、今でもメールでのやりとりなど友達のお付き合いをしています。
※浅利陽介さんが盲導犬訓練士として出演。「チエ」という1頭の犬が盲導犬に成長していく中で生まれる人と人との絆を描く感動のストーリー。
盲導犬ユーザーの方とメールのやり取りをさせて頂いている中で、視覚障がいの方の観劇会があることを知りました。私も役者として、どのように目の見えない人がお芝居を楽しむのか興味があり、観劇会に参加しました。
俳優の加藤健一さんが主宰されているお芝居だったのですが、そこでは視覚障がいの方も楽しめるよう開演前に舞台説明会があり、約30分間その芝居のあらすじの説明から始まり、役者が着ている洋服のイメージや色などを一つひとつ明確な言葉で説明していました。舞台上にある部屋に飾られている抽象画を巡っては、視覚障がいの方から「その抽象画はどんな絵なんですか?」なんて質問があったり。新鮮な驚きがたくさんありました。
観劇後の懇親会では、10頭近い盲導犬とそのユーザーたちと一緒に飲んで楽しみました。そのときも、犬たちは人間の食べ物には一切興味を示さないんですよね。犬たちのプライドが見えました。そして、みなさんとても前向きに生きる楽しみ方を知っていらして、一緒にいて楽しいんです。楽しくって私も飲みすぎちゃって、トイレで寝てしまって起きたらもう誰もいなくなっていました…(笑)そんな出会いからはじまって、私がボーカルをしているバンドのライブにもユーザーさんたちが遊びに来てくれるようになったんです。
以前通っていた英会話教室でアメリカ人の先生から誘われたのがきっかけで12年前にバンドをはじめました。今でも年に3回はライブを行う「ビジュアル系ブルースバンド」なんです(笑)。
役者という仕事はまず理屈があり、それを感覚でフォローする感じで左脳を主に使いますが、歌う時は理屈を考える時間はなく感性で歌うので、普段使っていない右脳を使うその感覚がとっても気持ちいいんです。
こんな楽しいこと、もっと若い頃からやってたら、そっちにいっちゃってたかもしれない(笑)。
ライブでは、カバー曲のほかにオリジナル曲もあるのですが、「back on the way」という曲は、盲導犬ユーザーの方からもらったメールの内容を元にして作った曲なんです。人生の途中で、目が見えなくなっていってどん底にいるときでも前を向いて「のっかっているだけでもいいから、自分の人生の道にもどろう」という意味。この「back on the way」という言葉が出てくるまでに、どれだけの絶望や悲しみを乗り越えてきたのか、このフレーズの行間に込められた思いを活かしたいと思いながら作りました。
ライブ後半にお客さんもみんなで歌って盛り上がり、いろんな人に元気になってもらえる曲になりました。

「季衣 & The Blues Road」でボーカルを務める根岸さん。妖艶な美しさを醸し出しています。バンドの詳細はHP http://mame-m.sakura.ne.jp/bluesroad/
盲導犬育成は、多くのボランティアの方々に支えられていると聞き、1頭の盲導犬を育てることは想像以上に大変だと思います。私もボランティアをやっているけれど、やっぱり気負いすぎると重荷になってきますよね。無理はしないで続けられればいいなと思いました。
どんな人でも区別なく一緒にいることがただただ楽しいというのが私のベースなので、盲導犬ユーザーと出会って、これからもつきあいが続いていけば、少しずつ視覚障がいや盲導犬への理解も身近になっていくんじゃないかなと思います。みんな一緒に生活していることを感じてもらいたい。そうすれば、支援やボランティアが特別なことではなく、気負わずにできるようになると思っています。
「私のライブ会場は、老若男女、車椅子の方、盲導犬とか、いろんな人がいて素敵なの。まるで世界の縮図のよう」。はにかむ根岸さんの笑顔が素敵でした。

●根岸季衣(ねぎし・としえ)
1980 年「蒲田行進曲」初舞台の小夏役を演じるなど、つかこうへい作品黄金期を支える一人。幅広い役柄を演じ、出演した映画、舞台、TVドラマは数えきれないほど。現在も多岐に渡って活躍中。