Heart to Heart
茨城トヨペット株式会社
利益は社会からの贈り物。茨城トヨペットが17年にわたりつなぐ、地域社会と盲導犬育成へのバトン

新ユニット出発式への参加など、盲導犬ユーザーの前向きな挑戦を直接応援し、活動の窓口を担う管理部・総務人事課のみなさま
茨城県を拠点とするトヨタ車の正規ディーラー、茨城トヨペット株式会社。1956年11月に水戸市で創業し、今年で70周年の大きな節目を迎えます。現在は県内全域に42店舗を展開し、新車・中古車の販売や車検・メンテナンスを通じて地域に根差したカーライフサポートを提供しています。
同社が創業以来、一貫して大切にしているのが「誠実・親切・スピード」という3つの訓(おしえ)と、「利益は社会からの贈り物であり、それは社会にお返しすべきものである」という先人の教え、精神です。この確固たる理念のもと、2008年から17年にわたり、協会への継続的な盲導犬育成・視覚障害者支援を続けています。なぜ自動車ディーラーがこれほどまでに長く、盲導犬支援に情熱を注ぎ続けているのでしょうか。その背景にある歩みを紐解きます。
日々の事業から広がる、環境活動と盲導犬育成への想い
始まりは、2001年から本格的に取り組んでいた環境活動(ISO活動)でした。地球環境に配慮した取り組みを推進するなかで、「この環境活動と連動させて、何か新しく、さらに地域や社会の役に立てる社会貢献活動はできないだろうか」という模索が始まりました。
ある日、当時この社会貢献活動の立案を担当していた社員が、テレビで放送されていた協会の特集を偶然目にしました。視覚に障害を持つ人々の自立と社会進出を支える盲導犬の存在、また、その育成にかかる多くの努力と資金の必要性を知り、「これこそが、私たちが企業として取り組むべき持続可能な活動だ」と直感したといいます。 担当者から役員陣へ向けた熱意ある提案は承認され、2008年、同社の新しい挑戦として盲導犬支援活動が産声を上げました。
具体的な支援として構築されたのが、「盲導犬育成基金」の積立制度です。茨城トヨペットでは、「車両販売」および「車検・整備の入庫」1台ごとに、売上の一部を盲導犬育成基金としてコツコツと積み立て、定期的に当協会へ贈呈する仕組みを整えました。2025年までの累計贈呈額は約5,000万円に上り、全店への募金箱設置などお客様とともに歩む支援を続けています。エコカーの普及といった環境活動と盲導犬支援をビジネスの仕組みに組み込んだこの取り組みは、同社ならではの持続可能な社会貢献のかたちです。
東日本大震災の苦難を乗り越え、「支援を絶対に止めない」という決断
活動開始から3年が経過した2011年、茨城トヨペットは未曾有の試練に見舞われます。東日本大震災です。激しい揺れに襲われ、一部の店舗では甚大な被害を受けました。ライフラインが厳しく制限されるなかで、社員一同、地域の復旧のために懸命に営業を続ける日々が続きました。
会社全体の存続や日々の営業活動だけで精一杯という極限状態のなか、社内では「非常事態なので寄付や基金の積立は、一度一時停止すべきではないか」という議論も持ち上がりました。しかし、そのとき経営層は「こうした社会全体が困難な時期だからこそ、支援を必要としている人々の輪を絶対に止めてはならない。私たちが苦しいときこそ、継続することに意味がある」と決断したのです。 この強い信念のもと、震災の混乱期であっても休むことなく積立と寄付の活動を継続しました。被災した社員も含め、あの年に基金を届けられたことは、今も社員全員の誇りとなっています。このブレない姿勢こそが、同社の社会貢献に対する本気度を何よりも証明しています。
形を変えて全社員で分かち合う「当事者の声」が、日々の業務の励みに
茨城トヨペットでは、毎年10月に開催される「全社員大会」の場で、当協会への盲導犬育成基金の贈呈式を行ってきました。2019年までは、全社員が一堂に会するこの最重要イベントのステージに協会スタッフやユーザーを直接招いて厳かに実施されていました。
単に「これだけの金額を寄付しました」という数字の報告だけで終わらせず、積み立てた寄付金によって実際に新しく盲導犬を貸与されたユーザーからのメッセージを共有することを大切にしています。例年通りの開催が難しくなった2020年以降のコロナ禍においても、基金の積み立てと贈呈の手を止めることはありませんでした。現在はユーザーからの感謝のビデオメッセージを全社で上映する形などに切り替え、支援の成果を全員で分かち合っています。

震災の苦難も乗り越えて17年。1台の販売や車検の積み重ねが誰かの幸せな暮らしに直結する誇りを、全社員で分かち合う贈呈式
画面越しに語られるユーザーの生の声を聴き、盲導犬が元気に寄り添う姿を目にすることで、社員たちは「自分たちが日々の販売やメンテナンスで懸命に1台を積み重ねてきた努力が、目の前の誰かの幸せな暮らしに直結しているんだ」と心の底から実感できるといいます。この具体的なフィードバックがあるからこそ、活動は全社員にとって誇りであり、日々の大きな励みとなっています。
「新ユニット出発式」での出会い、前向きに挑戦する姿への共感
盲導犬支援の窓口を担っている管理部・総務人事課のメンバーは、協会が主催する「新ユニット出発式」や、その後に開催される懇親会へ積極的に足を運んでいます。 「一人でも多くの社員に、この感動と当事者の方々の想いに直接触れてほしい」という考えから、出発式へ声がかかった際、あえて毎回異なるメンバーを選出して参加させるという工夫を行っています。
実際に現地へ赴き、ユーザーとコミュニケーションを交わした社員たちからは、毎回多くの感動の声があがります。「視覚に障害を持たれている皆さまは、想像以上にポジティブで、笑顔にあふれていました。お話を伺うと、パラリンピックへの出場を目指していたり、本格的な音楽活動に精力的に取り組まれていたりする方もいて、私たち以上にいろいろなことに果敢にチャレンジされている姿に、たくさんの勇気と元気をいただいています」
出発式の後に行われる懇親会では、積立金が架け橋となった盲導犬とユーザーのユニットに直接会い、お話をすることもあります。「私たちの仕事が、この二人のこれからの新しい人生を支えていくんだ」という心地よい責任感と、お力になれたことへの純粋な喜びが、次への継続の原動力となっています。
社会貢献を企業の使命としてつなぐ未来
まもなく創業70周年という大きな節目を迎える茨城トヨペット。同社は盲導犬支援以外にも、1976年から50年近くにわたり苗木を寄贈し続ける「ふれあいグリーンキャンペーン」や、地域の未来を担う子どもたちのための「小学生ドッジボール大会」、シニア世代の健康を支える「高齢者ゲートボール大会」の運営支援など、地域社会の全世代に寄り添った多彩な活動を展開しています。
「サステナブル」という言葉が一般社会に定着するはるか昔から一貫して続けてきた、地域への恩返し。その数ある活動のなかでも、当協会への支援は、同社の揺るぎない「使命」として深く根付いています。
「私たちが高い目標を掲げ、それを全社一丸となって達成しなければ、盲導犬を必要としている当事者の方々へ新しいパートナーをお届けすることができません。それは、私たちを信頼して車をお任せくださるお客様の想いを裏切らないことにもつながります。お客様、社員、そして協会とユーザーの皆様。全員が温かい気持ちでつながるこの活動を、私たちはこれからも誇りを持って、20回、30回と未来へずっと続けていきます」
茨城トヨペット株式会社の、車を通じた優しく力強い挑戦は、これからも茨城県全域、性能盲導犬を待つ多くの人々の未来を、あたたかく照らし続けていきます。



