吉川英治文化賞を受賞しました

2018年 2月 28日

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「第52回吉川英治文化賞」(吉川英治文化振興会主催)が3月1日発表され、日本盲導犬協会が受賞いたしました。

この賞は、日本の文化向上につくし、たたえられるべき業績をあげながらも、報われることの少ない個人や団体に贈呈されてきました。50周年を迎えた当協会の活動が大きく評価された形となりました。選考会では満場一致で受賞が決定したということで、選考委員の中には、町でたまたま盲導犬を見かけ、その姿に感銘を受けたというエピソードもあったといいます。協会を選出して下さったことに心より感謝申しあげます。

私たち日本盲導犬協会は、目の見えない人、見えにくい人一人ひとりと向き合い、盲導犬歩行を提供することによって、その人生に寄りそってきました。協会が産声をあげた当時は、盲導犬が「どう猛犬」と間違われ、犬は貨物列車で移動しなければならなかったと伝えられています。そんな時代、視覚障がいの方が一人で外出するには、社会の障壁は高かったに違いありません。それから半世紀たった2017年、協会創立50周年を無事に迎え、記念誌「ユーザーは語る」では、ユーザー一人ひとりの言葉を1冊の本にまとめました。その中でユーザーは語っています。「卑屈だった私を広い世界に解放してくれた」「忘れていた笑顔を取り戻した」「思った所へ自由に出かけられる喜び」
盲導犬が尻尾を振り、ユーザーは背筋を伸ばして風を切って歩く。その姿が周囲の人々を笑顔にし、盲導犬受け入れの輪が広がっていく。理屈抜きに差別の垣根を低くしていきます。盲導犬は、単なる移動手段ではなく、人生の大切なパートナー。人と盲導犬の歩みが、「動物と共に生きる文化」を醸成してきたといっても過言ではありません。多くの困難や、社会の中にあって自由な活動を妨げる障害を乗り越え、盲導犬と共に歩んできた多くのユーザーがその主役なのです。

盲導犬は「社会からの贈り物」。盲導犬を介して文化づくりに貢献し、社会へ恩返しできるのなら、こんなにうれしいことはありません。
今回の受賞は、盲導犬ユーザーやボランティア、ご支援者の皆さますべての活動が評価された栄えあるものです。この栄誉を糧に、さらに社会の皆さまの期待の応えていけるよう、職員一同、ひたむきに愚直に努力してまいります。



吉川英治文化賞については、こちらの講談社HPをご覧ください。

ユーザーの足元にいる盲導犬