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(1)盲導犬育成事業への貢献:現在、盲導犬を必要としている視覚障害者の数に対して盲導犬が不足しており、受刑者がパピーウォーカー(以下、「PW」という)の役割を担うということでより多くの盲導犬育成に繋がっています。
(2)再犯防止への貢献:受刑者に社会貢献の機会を与え、自己肯定感、他者への愛情、自信を身につけることにより心の修復をはかり社会復帰の手助けになるよう支援しています。
(3)地域社会への貢献:盲導犬パピー育成活動を中心にして地域ぐるみで社会貢献を実践することにより、地域の障害者福祉を促進し、地域社会の活性化に寄与しています。
●ナーブ♂
体重:4.7㎏
いたずらっ子
●ナッシュ♀
体重:4.7㎏
気を使う甘えん坊
●オーラ♀
体重:4.1㎏
好奇心旺盛
3頭のパピーたちは2つの‘家庭’で沢山の愛情を受けすくすく成長してゆきます。両者を繋いだのは1冊の「パピー手帳」でした。毎日欠かさずパピーの飼育状況を記録しお互いの連携を図ってゆきます。はじめは事務的な連絡が多かった記述にも数か月が過ぎた頃から徐々に変化が表れてきました。
《ナッシュ》
受刑者: 最近「ハイタッチ」を教えていたら、できるようになったんです。
WPW: 実は・・・こちらでも娘が「ハイタッチ」をこっそり教えていました。お互いに教えていたなんて偶然ですね!
受刑者: 文と一緒に絵でこちらの様子をお知らせしていきます。
WPW: 毎週上手な絵に驚かされ楽しませていただいています。そちらでのナーブの様子がよく伝わってきます。
受刑者: 少し離れてからカム!というと「キツネ跳び」をしながら嬉しそうに来るようになり、皆の人気ものになっています。
WPW: 我が家ではケージの上にあるおもちゃを取ろうとピョン!と跳びあがっていました。これが「キツネ跳び」なんですね!
文面を通して見えてくるお互いの状況、とまどいや喜びそしてなによりパピーに寄せる深い愛情。「パピー手帳」を通じ、少しずつ心の垣根が取り払われ「新たな絆」が育まれてゆきました。
受刑者たちは週一回のパピーレクチャーを通して盲導犬のことや視覚障害について学び、パピーを育てることが人の役に立っているんだ、という喜びに目覚めてゆきます。1頭のパピーを介してこの喜びを共有しあう。プロジェクトの目的のひとつである「地域ぐるみの社会貢献」とは、難しいことではなく、こうした人と人との「心のキャッチボール」なのだと確信しました。
《ナッシュ》
受刑者: ナッシュは我が子、娘みたいなもの。ありがとう、がんばれよと送り出したい。そして将来またボランティアをやれたらとおもいます。
WPW: 皆さんが盲導犬や視覚障害にかかわるボランティアを続けていかれれば、どこかでまたご一緒できるかもしれませんね。ナッシュといっぱいハグして娘を嫁に出す心の準備をしてください。
受刑者: ナーブに会えたこと感謝しています。生涯を通じて犬と暮らしていければと思います。
WPW: 素敵な絵を毎回ありがとうございました。そこに描かれた様にいつかナーブが盲導犬ユーザーの目となり活躍してくれることを願っています。別れが近いので子供が「今日はケージの中で一緒に寝る」と頑張っています!
受刑者: 今後自分もオーラに笑われないようにきちんとしなければいけない、オーラは慈しむこと、寛容の心を教えてくれました。
WPW: 苦労の日々、そして成長の喜び。こんな貴重な体験を共有できオーラへのいろんな気持ちを分かりあえる方々がいると思うと心強いです。私たち家族の想いを皆さんに託します。最終週オーラをよろしくお願いします。
修了式では、こらえきれずに受刑者の目から涙があふれていました。小さなパピーがもたらした大きな変化の兆し。盲導犬パピー育成という社会貢献を通じて得た自信がやがて再犯防止へとつながってゆく、そんな期待が膨らんだ瞬間でした。
そして迎えた今年3月29日。
3頭の盲導犬候補犬は、霞が関の法務省へ千葉景子大臣(当時)を訪ねました。ハーネスをつけた訓練犬をご覧になった千葉大臣は「この子たちにぜひ盲導犬になっていただきたい」と3頭を激励し、今後のプロジェクトへ期待を寄せられました。
4月12日には「盲導犬パピープロジェクト第2期」がスタートしました。新たに託される5頭のパピーたちと共に、新鮮な気持ちでプロジェクトの可能性を追い続けたいと思います。