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大好きな美術を通じて貢献したい、耳と手でみてほしい!
そんな願いをこめて 美術館ガイドサポート
盲導犬協会を支えてくださる企業の皆様の支援の形は様々。中でも、ちょっとユニークな支援への取り組みが行われている現場に密着、リポートしてゆきます。
真夏日の太陽を反射しひときわ映える「六本木ヒルズ」。森タワー高層階にオフィスを構えるゴールドマン・サックス証券株式会社様を訪ねました。鮮やかな青のTシャツで決めた社員ボランティア3名が、美術館見学をされる盲導犬ユーザーのガイドサポートをされるというのです。コラボレーションするのはアート発信地として注目を集める「森美術館」。年3回の展覧会ごとに開催されるプログラムの中で「耳と手でみるアート」と称し、視覚障害をお持ちの方にも鑑賞いただけるよう積極的に取り組んでいらっしゃいます。
視覚障害を知ることからスタート
こうしたガイドサポートは初めてという3名は、自分の好きな美術を通じて何か社会貢献できることがあればとこの取り組みに参加。事前講習では視覚障害をお持ちの方のサポートの仕方などを予習。「とにかくアートを見た自分なりの感想を言葉にして一緒に楽しんで」と森美術館スタッフからもアドバイスを受けます。
六本木の駅で待ち合わせたのは、盲導犬ユーザー井上さんと中野さん。ガイド役はここから始まっています。盲導犬を間近で見るのは初めてとあってか、やや緊張気味。それでも手引きをしながらとても自然に誘導しています。
自分が感じたことを言葉にする
舞台を森美術館に移して、現代アートの作品鑑賞がスタート。『六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?』と題したやや難解かと思われる展覧会を、丁寧に観てまわります。視覚障害をお持ちの方が少しでも作品を感じられるようにと、美術館スタッフが手法や素材を模したものを手渡し、触って確かめられるよう工夫をこらしています。
3名のガイドサポーターも自分の感じた印象を、五感をフル回転させて表現してゆきます。作品説明と同時に、こうした見る側の感性も吸収しながら、2人のユーザーはイマジネーションを広げているようです。時折作品が放つ大きな音にも2頭の盲導犬は落ち着いていて、アートの中にしっくりと溶け込んでいました。
HITOTZUKI(Kami+Sasu)
《The Firmament》 2010年
共に楽しむ中で生まれた発見
丁寧な作品の解説に魅了され、時に座って音や空間を感じながらたっぷり2時間。鑑賞を終えた井上さんは「すごく解りやすくて現代アートが好きになった」と大感激。一方ガイドする側も「普段自分が観て感じる作品と、説明するために言葉で表現したときでは作品への印象が全然違った」とお互いに新たな発見があったようです。六本木で生まれた新しい支援の輪。今後が期待されます。
照屋勇賢 《来るべき世界に》2004年
佐藤辰美氏蔵(寄託:沖縄県立博物館・美術館)