糸井重里さん:公益財団法人日本盲導犬協会公式ホームページ

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公益財団法人日本盲導犬協会

糸井重里さん

写真:訓練士歴43年の多和田悟理事と、愛犬や盲導犬について思うこと、仕事のありかたや生き物の死に対する考え方など、話が弾みました=(株)ほぼ日にて

盲導犬も普通の犬。優等生とおもわれるのはかわいそう

(写真)2016年ACジャパンポスター「盲導犬会議」を見ながら話をする2人。糸井さんの目にとまり話題となりました
ポスターはこちらからご覧になれます

糸井:盲導犬って、いい子ちゃんだとみんなが思っていますよね? でも違うんでしょ?

多和田:普通の犬です。僕は、盲導犬は最高の家庭犬だと思っていますから。

糸井:いいなぁ~。

多和田:僕は盲導犬クイールにかかわったんですけど、その映画を映画館で観た時、みなさんが最後泣いていました。それを見て、なんでその映画がうけたのか、 やっと分かった。みなさん自分が一緒に時を過ごした犬、自身のライフを思って泣いている。盲導犬は失敗もするし、いらんこともする。やっと盲導犬を「うちの犬」と同じレベルで捉えてもらえるようになったんだと思いました。だからこそ、盲導犬は最高の家庭犬であるべきだと思うんです。

糸井:全体に親しみをちょっとずつ増やしていくってことが、いろんなことをする時にはとっても大事で、今上野の動物園でパンダ舎の見学が始まっていますけど、今回のパンダは僕らが想定してたよりもちょっとピンクだったじゃないですか。あれが「なんで」という疑問を生み出して、その答えを探したから、みんながちょっと余計にパンダのことを知るようになった。知っていても知らなくてもどっちでもいいことをちょっと知っているっていうことが親しみだと思うんです。盲導犬については、お利口ないい子たちっていうことでまとめられている気がする。そこが残念ですね。今回のCMがよかったのは、犬たちの人柄が普通の人たちだったじゃないですか。

多和田:この犬たちは何代にもわたって人が大好きな犬たちなんです。

糸井:顔に書いてありますよ。「人が好きです」ってね。

多和田:犬たちは「人も、僕らがいなくちゃだめでしょ」とか言いそうですよね。

糸井:いいですね~。この子たちはみんな本名なんですよね。

多和田:はい。現役の盲導犬で、この犬(ポスター中央)のユーザーはご夫妻で一頭の犬を使用していて、一人がハーネスを握って、もう一人が手引きを受ける。このご夫婦から、時々酔っぱらって電話がかかってきます。「いい犬をありがとうね」と。人に頼まないで外に出られるのは私たちにとってはすごいことで、この子にとっては喜びだと。それでも盲導犬がかわいそうという方もいる。

糸井:人って無意識に、他人に優等生を押し付けているんじゃないかな。「盲導犬は普通の犬だよ」っていうこと、それとセットになって「犬を連れている人も普通の人だよ」って思った方がいい。だれでもわがままは言うし、でたらめやウソも言う。でも遠慮からくるものなのか、ハンデのある人が神格化される傾向がある。これは(見える人、見えない人)両方にとってよくない。障がいをもった人もどこかで遠慮していて、いい子でいなきゃと感じているのでは。目が見える見えないは関係なくて、もしその人が変なことを言ったとしたら、バカヤローって言える真の関係を築かなければいけないと思いますね。それから、無意識にみんな盲導犬はいい子だと思っているんですよ。いい子だって思いたいんです。ドラマを観る時、自分の好きな俳優がいい子を演じていたら、いい子だねっーて言うじゃないですか。人は現実じゃないファンタジーを見たいんですよ。でもそれは時には迷惑だから、お互いに分かろうねって、それが大切じゃないかな。

「自分を含めて喜ばせること」

多和田:僕にとって糸井さんは、楽しいことを一生懸命探している大人だと思うんですよ。僕も、楽しいことを仕事にできて本当にありがたいと思っています。

糸井:最近、「自分を含めて喜ばせる」という言い方をしているんです。つまり、お客さんを喜ばせるだとか、みんなを喜ばせるっていうのは、皆言うんですけれど、そこに自分を混ぜるかどうかです。そうでないと喜ばせるために、自分を苦しめてもいいってことになっちゃう。

多和田:盲導犬は、特にそこで誤解されていますから。「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に行きたい場所へ行けるように」という協会の使命があるんですが、その言葉の前に、「犬を含め誰の犠牲の上にも立たず」と必ずつけるんです。犬も含め、ユーザーやボランティア、訓練士も、盲導犬育成にかかわる人すべて、誰の犠牲の上にも立たない盲導犬歩行。盲導犬が尻尾を振って、人が楽しそうに歩いている姿が理想なんです。

糸井:そこですよね……そこ大事だと思う。

多和田:誰かの犠牲の上となると、あなたが歩くために犬が犠牲ですよ、あなたが歩くようになるために家族が犠牲になっていますよ、となる。

糸井:借金の連鎖みたいになるんですよね。負債を抱えて表に出かけて行くって考えたら、目の見えない人もつらいですよね。先ほどの、こんないい子がきてくれてありがとうっていう気持ちがベースですよね。

多和田:犬はいやなことがあっても明日に持ち越さない。快か不快かしかない。

糸井:快楽主義、それはちょっと見習いたいですよね。犬に学ぶっていうのは大げさな言い方だけど、「それでいいよね」ってことは山ほどありますね。

糸井重里さんと多和田悟理事の対談は次回に続きます。お楽しみに!

糸井重里(いとい・しげさと)
1948年群馬県生まれ。コピーライター、作詞家、ゲーム制作、エッセイストとして活躍。
1998年にWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。㈱ほぼ日代表取締役。犬猫SNSアプリ「ドコノコ」も運営。

今回糸井重里さんと対談した多和田訓練士が
日本盲導犬協会の盲導犬育成についての考え方や方法を語る「盲導犬の訓練って?」を連載しています。ぜひご覧ください!
「多和田訓練士が語る盲導犬の訓練って?」

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